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中小企業診断士プロリンクKS独立開業に向けて

中小企業診断士で近い将来独立開業準備中の企業内診断士です。現在奮闘中。

2012年12月

HPを移行します。現在工事中。新しいHPはhttp://www.keieigiken.comです。 専用メルアドは、prolinks-ks@keieigiken.comとなります。よろしくお願い致します。

検査部門の改善

企業内診断士ですので、所属企業内のヨロズ改善を任されます。私は現職は製品企画グループリーダーと品質管理グループサブグループリーダーを兼務しています。
本職は前者です。 当社は検査部門が多く、入社時から社長には検査を減らさないと利益が確保できないことを進言してきました。
 ただ、闇雲に検査を減らすことは出来ません。検査には3っつの役割があります。
1.客先との契約条件の履行ー最終検査では客先からの要求条件、例えば検査法などの取り決めがされていますので、その項目は履行する義務が有ります。その検査法項目は、製品図に謳って有るため製品企画段階でしっかり吟味する必要が有ります。これは先回「不良低減」の執筆で記した事と同じ内容です。企画段階で安易な妥協や丸呑みをすると後がたいへんとなる事象の一つがこの部門です。
2.工程品質の確認です。これを工程内検査や最終検査で請け負わせると品質コストが上昇します。 自工程完結活動をしっかり行うことです。その為には、変化点管理、外注工程管理、不良品識別をしっかりする必要が有ります。そうしないと、検査が選別作業場と化してしまいます。
3.前工程の品質管理向上です。検査情報は貴重です。せっかくのデータを活用していないと、いつまで経っても検査工数は減少しません。しかし、検査部門はそれが当たり前であると思い込んだり、今日も一日検査をこなしたと自己満足に陥るケースが多々見受けられます。前工程を教育して検査の負荷を減少させる取り組みが必要なんです。

こういった活動を行わないと検査はいつまでも多数の優秀な経営資源を飲み込み続けます。
検査部門を担当する従業員は優秀な者が当たります。経営資源の中で最も重要な人的資源の内の優良な資源が付加価値を生まない検査に投入されていることは経営にとって大損失なんです。
意外とこれに気がついていないですね。
 それどころか、検査の充実(この場合は人的資源や装備)を誇示する経営者をよく見かけますが、私に言わせた頂くなら、そんな部門を充実させなければならないほど工程内品質がプアーなんですかと判断します。
  語弊があるのでたいへん申し訳ないですが、でもこれは事実です。
残念ながらご多分に漏れず当社もそうなっていました。 それで、入社して実習を1ヶ月間させて頂いて、入社前に30分ほど現場の見学をさせて頂いた時に問題点をいくつか挙げましたが、その確認をしましたが、工程内品質管理と外注管理がたいへん問題が有ることが確認できました。
 その原因の大きな部分が先に述べた設計段階にあることが確認できました。
つまり、客先からの親図を支給され生産準備に入るのですが、ムリな交差や製造方法を強いられています。これでは、工程能力がでないし、検査法は検査項目だらけとなります。しかも、工程能力が出せないため、不良が発生すると検査法が強化される悪循環です。
 まず、ここを叩く必要が有ります。工程品質は当面手が着けられませんが、外注管理は行っていきました。ワイヤーハーネスの組み付けは国内工場の労務費ではもはや競争力は有りません。その為、海外工場へのシフトと国内では廉価な労務費を狙って外注へ生産委託をします。これがくせ者で、品質管理が出来ない外注が実は工務関係者から歓迎される傾向にあります。何故か?生産計画の振れが大きく、計画の上ぶれなど日常茶飯事です。すでにTPSは崩壊しています。
私がカンバンシステム導入時に同システムの最もキモは生産の平準化とたたき込まれましたが、今は昔です。Σ(´д`;) 内々示(カンバンが振り出される1ヶ月前の生産量提示)から120% 越えなんて軽く行われています。しかも、当月内のカンバン発行量は平準化なんて有るのってくらいの変動量が発生しています。
これでは在庫を大量に持たないと生産をショートさせてしまいます。引き取りカンバンを無視して、仮カンバンを発行しています。
 その為何が起こるかというと、ムリな外注工場への超短納期指図が乱発される状態となり、外注工場はやむを得ず、工程を変えたり内職を増やしたりして変化点をドンドン作るはめに成ります。
教育は後回しとなり、とにかく量的確保に奔走しています。これでは自工程完結どころか良品が検査に来る保証は何処にもありません。 
 やむを得ず工程品質は、外注工場へまずは変化点の管理を徹底することから始めました。
私は前述の設計品質の件を経営に進言しましたら、私を責任者とする部署を新設することになり、提案を実行することになりました。 
 この辺りが、企業内診断士は単なるコンサルではなくて、実行できるコンサルではないと勤まらないのです。 
この2年間の私なりの奮闘と協力者のお陰様で、設計品質は改善されました。検査項目は30%以上減少し、D/Rをタイムリーに行って、製品立ち上がりもスムーズに行くようになりました。この点は、ISOの監査や、客先の工程監査でも非常に評価の高いところですし、新規顧客獲得にも多大な貢献をしています。
 今年、某社でPHVが立ち上がりました。バッテリー容量が大きくなり、それに伴い電池の温度管理精度を上げるためのサーミスタ入りのハーネス供給を受注しました。車種が異なりますが、コンペティターもほぼ同時に生産準備を開始しています。今、コンペティターは大混乱らしいです。
 設計管理に精通した者が采配しないと新規開発品は立ち上げが困難です。この二年間設計管理改善として仕組みを作りました。これはまた機会を改めます。
 話を検査に戻します。設計部門の努力が検査になかなか及ばない事態に、経営が業を煮やして管理者を変えたりしましたがいっこうに改善されません。私に言わせて頂くなら、検査の本質が理解していないのですから当然です。で、結局、社長が私が品質管理の兼務とはいえリーダー格だと言うことに気がついたのか、業務命令が出されました。「検査の改善をせよ」です。 
 まず、検査工程の作業を書き出すことから始めました。併行して改善案を模索します。私としては落としどころは既に決めてあります。2年も在籍すれば問題点は分かっていますし、元々見学時に目についた検査部門です。普段から注目していましたので。
問題点はいくつかあります。大きなところでは、
1.リーダーとサブリーダーとの役割分担が不明確。 サブリーダーが作業者化しています。これではリーダーの目が行き届きません。管理監督者が一度に把握できる人員は8名くらいと言われています。
私の経験でもそのくらいです。
2.所要工数が把握されていない。工数実績は毎週生産会議で報告されて、検査生産量や投入工数は把握していますが、では本来はどのくらいで行わないといけないのかが全く不明です。ここは「ウマなり」です。「ウマなり」ってお聞きになったことありませんか。T紡績ではよく使われました。馬の背にゆられて成り行きで行くことです。行き先?ウマに聞いてくれって言う管理者をさして言う言葉です。(′∀`) T自動車部品メーカーから転職して、違和感のある言葉でした。 部品メーカーではウマなり仕事ではカーメーカーの要求に応えられないため、そんな事態が発生することがなかったからです。しかし、さすがに日本の製造業の草分け、渋沢栄一翁の明治創業の会社です。ボキャブラリーが豊富でしたね。勉強になりました。
大まかには上記の2点です。その他細かい点を上げたらキリがないし、現在の管理者には理解できないのでまずこの2点の問題点をつぶすことにしました。
長文になってしまいました。 詳細は後日アップしますね。 では。

生産管理の本の執筆

私が所属する日本生産管理学会と標準化研究学会では生産に関する出版活動を行っています。
昨年末から月一回の研究会の会合でスケジューリングしているのは「現場の管理と改善講座」シリーズ本の改訂作業です。
 私はその中の「不良低減」を担当しています。 一言で不良の低減を表現することは困難です。
不良が発生する原因が設計品質か製造品質に起因するのかで異なるからです。
現行の論点は主に製造品質について述べています。つまり管理が主体です。
しかし、シリーズ中には日常管理や目で見る管理などがあり、製造品質の管理については十分述べられています。
私が実務で苦労してきたのは、実は設計品質の悪さがあたかも製造品質の管理の失敗のようにされてきたことです。
 そこで、不良低減の改訂作業では設計品質から説明しようと思いました。
たとえ話で申し上げますと、たいへんな惨事を引き起こした福島第一原発では何故津波の想定を間違ったのでしょうか。地震を市場で商品を買うお客様とすると、耐震性能はそのお客様に見合った商品と成ります。どんな地震が来るのでしょうか?揺れの強さは、揺れ方は?津波は?地割れ、液状化とお客様の要求を想定して対応していかないとクレームが発生します。東電は津波の大きさは想定外で仕方がなかったとしています。しかし、過去の史実を調査すれば想定が間違っていたのではないかという事実が最近になって報道されています。
 企業のおける設計品質ではこのような場合は設計ミスとしてカウントされますね。
東電は設計責任ではないとしています。悪いのはお客様だと。。。。
勿論、市場の全ての要求に応える為の想定は、コスト高となって市場の競争力を低下させます。
企業は市場での信頼を失わない程度のクレームを覚悟して設計品質を決めていきます。
 しかし、企業が市場から撤退するほどのクレームは許されないことは当然です。東電はその意味で、全く設計品質の管理が出来ていなかったことになります。

設計品質でもう一つ問題になるのは、工程能力を無視した規格の設定です。お客様の要求をのみすぎたためにムリな設計をしてしまうことが有ります。これは工程内不良を増加させます。

 設計は段取り八分と言う格言そのままです。ここで如何に品質を作り込むことを検討するかによって不良の発生形態や発生率が変わってくるのです。
今回はこの関係をかなりのページを割いて説明しました。おそらく、不良低減を扱う書籍の中でこの論点を重視して説明してる本は私の記憶にはありません。
 日本の製造業は、現場力が高いと言われてきました。しかし、現在日本の製造業の現場では日本人の姿は少なくなっています。
偏見はいけないですが、実態はやはり派遣労働者の質はばらつきが大きいです。優秀な人も多く見受けられます。しかし、明日をも知れない身分でその所属する企業の事を考えて居る余裕はありません。安定した雇用関係で企業に所属する正社員の意識レベルにはなかなか成らないのは経験からも分かります。私がT紡績会社で行った方法ではかなり近づけられましたので企業側の問題が大きいのですが。

改訂版と言っても殆ど作り替えてしまったため、出版社の日本規格協会さんには大変ご迷惑をおかけしました。特に共執のH先生は出版社に席を於かれていますので、随分ご迷惑をおかけしました。
何とか先生や各方面の方のご助力の下、発刊にこぎ着けそうです。感謝致します。(´∀`*)



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