昨日は、次期某最大手自動車メーカーのモデルチェンジの目玉デバイスの一部品を担当していますので、協力工場に出向いて、客先の設計が書きかけている3D CAD図を元に問題点と対策案を検討しました。設計段階のデザインレビュー(D/R)って手法です。これは、単なる加工下請けといえども、やっておくべきです。
 拙著の「不良低減」(日本規格協会)にもしつこく書かせて頂きましたが、受注段階での設計検討は必要と言うよりMUSTです。
 現在の会社に入って、驚いた一つに、お客様の要求条件は絶対って宗教的な(失礼)観念が有って。現場が工程能力が出せずに苦労している現状や、それを最終検査で全数選別ようなことをして出荷品質保証で乗り切っていることがびっくりでした。

 ご承知のように、T(規格幅)/ABS 6σ(絶対値のシックスシグマ)がCPKです。(Kは規格に対する6シグマの偏り係数) これが通常工程では1.33以上 できれば1.67以上、安全装置なら2.00以上って事になります。Tは客先都合で狭くなる傾向に有るため、下請けメーカーは工程内ばらつき、つまりシックスシグマを狭める、事になります。せっせと規格外れの不適合品を選別しては修正したり、廃棄したりって事になるわけです。
修正するときに二次災害を引き起こしたりしてね。

 D/Rは、設計の試作段階でしっかりと言って置かないと、量産仕様が固まってからではニッチモサッチ行かなくなります。 ところが、これをやらずして、お上の意向とばかりに「上位!」「へへーっ」て時代劇でよく見るシーンようなことが行われています。

この段階でしっかりともの申すことが、お互いのため、相互利益となります。私は入社して、あまりの現状に、社内で訴えましたら、「そんなこと言っていいのか」って逆に言われて、そうかあ、これが下請けの現実なんだな。って思い知った次第です。

こういう従順な下請け中小企業で日本の製造業は成り立っているのですね。それで、利益は最終組み立てメーカーで史上最高益とか出てね。

愚痴はともかく、客先のOBですから、直談判です。「何故D/Rをさせる仕組みになっていないのか」「型ものはやっている。貴社は型もの対象メーカーではない」「生産準備や工程能力確保は型もの対象メーカーだけのものならそれでも良いが。」って突っ込んだんです。で、当社もD/Rに参加させてもらえることになったんです。

生産準備段階で会議体で関係者を招集し、トップも入ってもらって、検討会を開催し、さらに個別検討に回すかを決定して詰めて行きます。その段階で当社としての品質レベルも決定して行きます。
安全装置と一般製品では、CPKに差をつけるべきですからね。 そこには企業ポリシーも入ってきますし、営業政策も入ってきます。

詳しくは宣伝するわけではないですが、前掲の拙著の「不良低減」を参照願います。

それを具現化していくのが生産技術力って事になります。

この続きはまた明日にしますね。

では